私たちは、民間企業の採用コンサルティングを行っていますが、10数年前にある地方自治体から職員採用について相談を受けました。

「応募者の志向性に偏りが感じられる」

面接の現場に立ち会うと、多くの受験者が「経済状況に左右されない安定性」を志望動機に挙げます。ではその安定環境の中で何をしたいのか?となると、具体的な仕事内容について言及する受験者はとても少ない。この状況/現象は一過性・局地的なものではなく、私たちが携わる複数の地方自治体の採用現場で共通する事態となっていました。あまりにもイメージだけで志望される公務員(行政職等)の今後に危機感を持つ現場の声は毎年強くなり直接耳にする機会も増えていきました。そこで、私たちは「職」としての地方公務員の仕事の魅力を伝えることを目的にこの「シクケンリクルート」を立ち上げました。誤解を恐れずに言えば、地方自治体の仕事と民間企業の仕事に大きな違いはありません。枠や箱を取り払って、仕事内容でまずは検討してみてください。

また、昨今の新型コロナウイルス感染拡大という未曽有の事態に、日本全体が注目し、期待を寄せたのは国ではなく、地方自治体でした。地域に密接した独自の対応が迫られ、重大事態の舵取りを地方自治体にゆだねられることとなりました。すべてが初めての緊急事態対応に手探りで試行錯誤を重ねたのも職員の方々でした。この事態に象徴されるように、職員の方々は、「町のため」「市のため」「区のため」「県のため」そして何よりも「住民のために」“使命感”を持って取り組んでいます。

時代も日々の日常も様変わりする現在、公務員組織に求められるのは「多様性」です。従来の仕事をただ遂行するだけではなく、時にたくさんの人を巻き込みながら多様なアイデア、マインド、コミュニケーション、ミッションを持って事態に取り組むチーム姿勢が求められます。

地方公務員の職務をこれからの日本を背負う重要な仕事としてとらえ、地方自治体には、情勢に対し常に問題提起ができ、“もっと良い街に”“誇れる町に”と使命感を持って自発的に取り組める人材と出会う機会を作りたい。そして、公務員を目指す方には、公務員に求められる資質と仕事イメージのギャップをなくし、正確な仕事理解ができる場を作りたい。
この「シクケンリクルート」を通して提供ができるよう、私たちも努力を続けます。